元の特許公報: 特開2023-68207
【発明の概要】【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまで、アンチペロブスカイト化合物として様々な化合物が検討されてきた。しかし、アンチペロブスカイト化合物が用いられる用途によって、アンチペロブスカイト化合物には様々な物性が要求されるため、新規なアンチペロブスカイト化合物の開発が望まれている。
【0006】
本発明の目的は、新規なアンチペロブスカイト化合物、前記アンチペロブスカイト化合物を含む電池用電解質、及び、前記電池用電解質を含む電池を提供することである。
【特許請求の範囲】【請求項1】
カチオンXとアニオンAとアニオンBとから構成され、前記カチオンXはアルカリ金属カチオンであり、
前記アニオンAはS2-、Se2-、及びTe2-よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、
前記アニオンBはH-及びF-よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、
前記カチオンX、前記アニオンA及び前記アニオンBの少なくとも1種のうち一部がドーパントにより置換されていてもよく、格子間にドーパントを含んでもよいアンチペロブスカイト化合物。
アイデア1
新しい「発明が解決しようとする課題」(再定義された課題)
1. 多様な電池用途において、要求される特定の物性(例えば、高イオン伝導性、優れた化学的・熱的安定性)を効率的に発揮する新規なアンチペロブスカイト化合物の開発。
発明の名称:
高安定性・高イオン伝導性ハイブリッドアンチペロブスカイト電解質
新しい課題を解決するために、元の構成要素から置き換えた新しい構成要素
• 複合アニオンサイト制御型アンチペロブスカイト化合物
• 多価カチオン最適化アルカリ金属カチオン
• 複合カルコゲンアニオン構成
• 多機能水素・ハロゲンアニオン混合体
• 選択的ドーピング・格子間イオン導入技術
【請求項1】:
カチオンXとアニオンAとアニオンBとから構成され、 前記カチオンXは多価カチオンを最適化したアルカリ金属カチオンであり、 前記アニオンAはS2-、Se2-、及びTe2-から選択される複数のカルコゲンアニオンを最適比率で含む複合カルコゲンアニオン構成であり、 前記アニオンBはH-とF-に加えて、イオン伝導促進効果を有する多機能水素・ハロゲンアニオン混合体であり、 前記カチオンX、前記アニオンA及び前記アニオンBの少なくとも1種のうち一部が選択的ドーピングにより置換され、かつ、格子間にイオン伝導性をさらに高めるための特定の格子間イオンが導入された複合アニオンサイト制御型アンチペロブスカイト化合物。
期待される効果:
本アイデアによる新しいアンチペロブスカイト化合物は、組成・構造を精密に設計することで、従来の化合物では困難であった高イオン伝導性と優れた化学的・熱的安定性の両立を実現します。特に、多価カチオンの導入は構造の安定性を高めつつ、イオンの移動経路を最適化し、カルコゲンアニオンと水素・ハロゲンアニオンの組み合わせは、より多様なイオン伝導メカニズムを可能にし、高効率な電解質として機能することが期待されます。これにより、電気自動車や定置型蓄電池など、幅広い用途で高性能な電池の実現に貢献します。
元の特許の課題:
元の特許は新規なアンチペロブスカイト化合物を提供しますが、特定の用途における要求物性への最適化や、さらなるイオン伝導度向上に向けた具体的な指針が限定的でした。特に、ドーパントの導入はイオン伝導度向上に寄与すると述べられているものの、その種類、量、導入位置の精密な制御によるさらなる性能向上や、格子間ドーパントによる積極的なイオン伝導パス形成については十分に探求されていませんでした。このため、より高度な性能が要求される次世代電池への適用には課題がありました。
技術的実現可能性の根拠:
多価カチオンの導入、複数のカルコゲンアニオンや水素・ハロゲンアニオンの組み合わせ、および選択的ドーピングは、既存の固相合成法や液相合成法、あるいはスパッタリング等の薄膜形成技術の範囲内で実現可能です。結晶構造解析(X線回折、中性子回折など)や電気化学インピーダンス測定により、組成・構造の確認と物性評価を行うことができます。 別途必要になる技術としては、多価カチオンや複合アニオンを安定的に導入するための精密な合成条件制御技術(例えば、雰囲気制御、温度勾配制御、高圧合成技術の最適化)、および、原子レベルでの欠陥構造やドーパント位置を特定する高度な構造解析技術(例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)による元素マッピング、XAFSなど)が挙げられます。
アイデア2
新しい「発明が解決しようとする課題」(再定義された課題)
1. 多様な電池用途において、要求される特定の物性(例えば、高イオン伝導性、優れた化学的・熱的安定性)を効率的に発揮する新規なアンチペロブスカイト化合物の開発。
発明の名称:
環境負荷低減型多機能アンチペロブスカイト固体電解質
新しい課題を解決するために、元の構成要素から置き換えた新しい構成要素
• 環境適合性カチオン導入型アンチペロブスカイト化合物
• 資源制約低減アルカリ金属カチオン
• 低毒性・高安定性アニオンA種
• 複合プロトン・フッ素アニオン系
• 欠陥設計最適化ドーピング技術
【請求項1】:
カチオンXとアニオンAとアニオンBとから構成され、 前記カチオンXはリチウム、ナトリウムに加え、環境負荷が低い資源制約低減アルカリ金属カチオンであり、 前記アニオンAはS2-、Se2-、及びTe2-の選択に加え、低毒性で高い構造安定性を示す新規アニオンA種を含む複合カルコゲンアニオン構成であり、 前記アニオンBはH-とF-に加え、プロトン伝導性を付与する複合プロトン・フッ素アニオン系であり、 前記カチオンX、前記アニオンA及び前記アニオンBの少なくとも1種のうち一部が結晶構造内の欠陥を意図的に設計し、イオン伝導経路を最適化する欠陥設計最適化ドーピング技術により置換されていてもよく、格子間にドーパントを含んでもよい環境適合性カチオン導入型アンチペロブスカイト化合物。
期待される効果:
本アイデアは、高イオン伝導性を維持しつつ、環境負荷の低い元素の採用や毒性の低いアニオン種の導入を可能にします。これにより、電池の製造から廃棄に至るライフサイクル全体での環境負荷を低減し、持続可能な社会の実現に貢献します。さらに、欠陥設計最適化ドーピング技術は、イオン伝導経路を精密に制御することで、これまで達成できなかったレベルのイオン伝導度を実現し、より高出力・長寿命な電池の開発に貢献します。
元の特許の課題:
元の特許は、新規なアンチペロブスカイト化合物の開発に焦点を当てていますが、環境負荷低減や資源制約といった観点からの材料選定や設計思想は明確ではありませんでした。また、ドーパントの導入がイオン伝導度向上に寄与するとの記載はあるものの、結晶構造内の欠陥を積極的に制御してイオン伝導経路を最適化するという観点からの検討は不十分でした。そのため、環境問題への対応や、さらなるイオン伝導度向上による高出力化・長寿命化には改善の余地がありました。
技術的実現可能性の根拠:
環境適合性カチオンや低毒性アニオン種の探索は、計算科学的手法(第一原理計算など)と実験的合成(固相合成、メカニカルアロイングなど)を組み合わせることで可能です。欠陥設計最適化ドーピング技術は、精密な合成条件制御と、高度な構造解析(XAFS, TEMなど)および理論計算の組み合わせにより実現できます。 別途必要になる技術としては、環境負荷評価手法の確立、新しい元素を安定的に導入するための合成プロセスの開発、および、欠陥構造とイオン伝導パスの関係性を原子レベルで解明するためのシミュレーション技術と実験技術の高度な連携が挙げられます。
アイデア3
新しい「発明が解決しようとする課題」(再定義された課題)
2. ドーパントの精密な制御により、既存のアンチペロブスカイト化合物と比較して飛躍的にイオン伝導度が向上し、かつ構造的な歪みや欠陥が抑制された電池用電解質を提供すること。
発明の名称:
超イオン伝導性・高耐久性ドーピング制御アンチペロブスカイト電解質
新しい課題を解決するために、元の構成要素から置き換えた新しい構成要素
• サイト特異的精密ドーピングアンチペロブスカイト化合物
• イオン伝導経路最適化カチオン
• 高安定性・高伝導性アニオンA選択
• 構造安定化アニオンB導入
• 格子間ドーパントによるイオン伝導パス形成
【請求項1】:
カチオンXとアニオンAとアニオンBとから構成され、 前記カチオンXはイオン伝導経路を最適化するよう精密に設計されたアルカリ金属カチオンであり、 前記アニオンAはS2-、Se2-、及びTe2-よりなる群から選択され、高安定性と高伝導性を両立するアニオンA選択がなされ、 前記アニオンBはH-及びF-よりなる群から選択され、かつ構造安定化に寄与するアニオンB導入がなされ、 前記カチオンX、前記アニオンA及び前記アニオンBの特定のサイトのうち一部がサイト特異的精密ドーピングにより置換され、かつ、格子間にイオン伝導パスを形成するドーパントが導入された、構造的な歪みや欠陥が抑制された超イオン伝導性アンチペロブスカイト化合物。
期待される効果:
本アイデアは、ドーパントの種類、量、導入位置を原子レベルで精密に制御することで、アンチペロブスカイト化合物のイオン伝導度を飛躍的に向上させるとともに、構造的な歪みや欠陥の発生を抑制します。これにより、電解質の高出力化、長寿命化、および高耐久性を実現し、電気自動車の航続距離延長や、スマートグリッドにおける定置型蓄電池の効率向上に大きく貢献します。
元の特許の課題:
元の特許ではドーパントの導入がイオン伝導度向上に寄与する可能性が示唆されていましたが、ドーパントの精密な制御による構造的な歪みや欠陥の抑制、およびそれによる飛躍的なイオン伝導度向上については、具体的な言及や詳細な検討が不足していました。特に、ドーパントが構造安定性に与える影響や、特定のサイトへの選択的導入による性能最適化については、さらなる研究の余地がありました。
技術的実現可能性の根拠:
サイト特異的精密ドーピングは、分子線エピタキシー(MBE)やパルスレーザー堆積(PLD)などの薄膜形成技術と、原子層堆積(ALD)などの精密な成膜技術を組み合わせることで実現可能です。また、高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)や走査型透過電子顕微鏡(STEM)による原子分解能での構造解析、X線吸収分光法(XAS)による局所構造解析、および第一原理計算による理論的裏付けが、精密制御の実現可能性を裏付けます。 別途必要になる技術としては、原子レベルでのドーピング位置を制御するための合成技術の最適化、および、ドーピングによる構造変化とイオン伝導メカニズムの関係性を詳細に解明するための高度なシミュレーション技術と実験技術の統合が挙げられます。
アイデア4
新しい「発明が解決しようとする課題」(再定義された課題)
2. ドーパントの精密な制御により、既存のアンチペロブスカイト化合物と比較して飛躍的にイオン伝導度が向上し、かつ構造的な歪みや欠陥が抑制された電池用電解質を提供すること。
発明の名称:
低温焼成可能高イオン伝導性アンチペロブスカイト電解質
新しい課題を解決するために、元の構成要素から置き換えた新しい構成要素
• 低温焼成可能ドーピング誘起型アンチペロブスカイト化合物
• 低融点カチオン導入
• 反応性アニオンA選定
• 低温活性化アニオンB系
• 焼成温度低減ドーパント
【請求項1】:
カチオンXとアニオンAとアニオンBとから構成され、 前記カチオンXは低融点特性を有するアルカリ金属カチオンが導入され、 前記アニオンAはS2-、Se2-、及びTe2-よりなる群から選択され、低温での反応性に優れたアニオンA選定がなされ、 前記アニオンBはH-及びF-よりなる群から選択され、低温でのイオン活性化を促進するアニオンB系であり、 前記カチオンX、前記アニオンA及び前記アニオンBの少なくとも1種のうち一部が低温焼成を可能にする特定のドーパントにより置換され、かつ、格子間にドーパントを含んでもよい低温焼成可能ドーピング誘起型アンチペロブスカイト化合物。
期待される効果:
本アイデアは、ドーパントの精密な制御と適切な元素選択により、アンチペロブスカイト化合物の合成温度を大幅に低減することを可能にします。これにより、製造コストの削減、エネルギー消費の抑制、および熱に弱い他の電池構成要素との一体化が容易になるという利点があります。さらに、低温での合成が可能となることで、より多様なプロセスや複合材料への応用が広がり、製造効率と量産性を向上させることができます。
元の特許の課題:
元の特許におけるアンチペロブスカイト化合物の合成は、高温での固相反応が主な手法として示されており、製造コストやエネルギー消費の観点からは改善の余地がありました。特に、電解質層の形成において高温プロセスが必須である場合、他の電池部材(例えば、高分子セパレータや有機電解液)との一体化が困難であるという課題も存在しました。そのため、より低コストで効率的な製造プロセスを実現するためには、低温での合成を可能にする技術が求められていました。
技術的実現可能性の根拠:
低温焼成を実現するためのドーパントの探索は、計算科学的スクリーニングと、低融点特性を持つ材料の組み合わせにより可能です。低温合成条件での結晶性向上は、フラックス法や溶媒熱合成などの湿式合成法、または、メカニカルアロイング後の低温アニーリングなどによって実現できます。 別途必要になる技術としては、低温での均一なドーパント分布を実現するための合成プロセスの最適化、および、低温合成された材料の結晶構造、欠陥、およびイオン伝導特性を総合的に評価するための高度なキャラクタリゼーション技術(例えば、operando X線回折、低温電気化学インピーダンス測定など)が挙げられます。